東大入学式の祝辞「頑張りが報われた人は、周りが…」 続く言葉に共感の声 By - grape編集部 公開:2019-04-14 更新:2019-04-14 東京大学 Share Tweet LINE ※写真はイメージ 2019年4月12日に行われた東京大学の入学式で祝辞を贈った、社会学者の上野千鶴子さんの言葉が大きな反響を呼んでいます。 上野千鶴子「頑張っても報われない人がいる」 上野さんは祝辞の冒頭で、2018年に発覚した東京医科大学の『不正入試問題』について言及。 また、東京大学入学者の女性比率が「2割の壁」を超えないことを指摘し、4年生大学への進学率についても男女差があることを話しました。 上野さんは各種のデータから「女子受験生のほうが男子受験生よりも偏差値が高い」という傾向があるにも関わらず、女性の進学率が7%も低いことを指摘。性別の差で進学率などが異なる理由を、上野さんはこのように述べています。 「息子は大学まで、娘は短大まで」でよいと考える親の性差別の結果です。 すべての家庭に当てはまることではありませんが、男女平等が強く叫ばれる現代でも、そういった考えは少なからずあるのかもしれません。 さらに上野さんは、「社会に出れば、もっとあからさまな性差別が横行している」と話します。 そして、熾烈な競争を勝ち抜いて入学してきた新入生に対して、このような言葉を贈りました。 あなたたちはがんばれば報われる、と思ってここまで来たはずです。ですが、冒頭で不正入試に触れたとおり、がんばってもそれが公正に報われない社会があなたたちを待っています。 そしてがんばったら報われるとあなたがたが思えることそのものが、あなたがたの努力の成果ではなく、環境のおかげだったこと忘れないようにしてください。 あなたたちが今日「がんばったら報われる」と思えるのは、これまであなたたちの周囲の環境が、あなたたちを励まし、背を押し、手を持ってひきあげ、やりとげたことを評価してほめてくれたからこそです。世の中には、がんばっても報われないひと、がんばろうにもがんばれないひと、がんばりすぎて心と体をこわしたひと...たちがいます。 がんばる前から、「しょせんおまえなんか」「どうせわたしなんて」とがんばる意欲をくじかれるひとたちもいます。 東京大学 ーより引用 不正入試問題などを例に挙げながら、「頑張れば報われる世の中とは限らない」という上野さん。 新入生の頑張りが報われてきたのだとしたら「それは周りにいる人たちが励まし、背を押してくれたからだ」といいます。 そして、頑張って勝ち抜いてきた人たちに向けて、その力を弱者のために使ってほしいと呼びかけたのです。 あなたたちのがんばりを、どうぞ自分が勝ち抜くためだけに使わないでください。恵まれた環境と恵まれた能力とを、恵まれないひとびとを貶めるためにではなく、そういうひとびとを助けるために使ってください。 そして強がらず、自分の弱さを認め、支え合って生きてください。女性学を生んだのはフェミニズムという女性運動ですが、フェミニズムはけっして女も男のようにふるまいたいとか、弱者が強者になりたいという思想ではありません。フェミニズムは弱者が弱者のままで尊重されることを求める思想です。 東京大学 ーより引用 女性の権利を主張する運動を指す『フェミニズム』という言葉の意味を「弱者が弱者のままで尊重されること」だと上野さんは語りました。 上野さんの祝辞に対し、ネット上ではこのような声が上がっています。 ・これは本当に大切。学歴は個人の努力だけを反映するものではないです。 ・上野さんの祝辞に感銘を受けました。 ・力強く、素敵な祝辞ですね。全文を読んでも感動します。 最後に、上野さんは大学で学ぶ価値について、このように述べました。 大学で学ぶ価値とは、すでにある知を身につけることではなく、これまで誰も見たことのない知を生み出すための知を身に付けることだと、わたしは確信しています。知を生み出す知を、メタ知識といいます。そのメタ知識を学生に身につけてもらうことこそが、大学の使命です。 東京大学 ーより引用 性別に関係なく、学ぶことの大切さを訴えた上野さん。これから未知の世界に飛び出す大学生にとって、勇気を与えられる祝辞だったのではないでしょうか。 『平成31年度東京大学学部入学式 祝辞』全文はこちら 次のページへ 1 2 出典grape/東京大学 Share Tweet LINE
2019年4月12日に行われた東京大学の入学式で祝辞を贈った、社会学者の上野千鶴子さんの言葉が大きな反響を呼んでいます。
上野千鶴子「頑張っても報われない人がいる」
上野さんは祝辞の冒頭で、2018年に発覚した東京医科大学の『不正入試問題』について言及。
また、東京大学入学者の女性比率が「2割の壁」を超えないことを指摘し、4年生大学への進学率についても男女差があることを話しました。
上野さんは各種のデータから「女子受験生のほうが男子受験生よりも偏差値が高い」という傾向があるにも関わらず、女性の進学率が7%も低いことを指摘。性別の差で進学率などが異なる理由を、上野さんはこのように述べています。
「息子は大学まで、娘は短大まで」でよいと考える親の性差別の結果です。
すべての家庭に当てはまることではありませんが、男女平等が強く叫ばれる現代でも、そういった考えは少なからずあるのかもしれません。
さらに上野さんは、「社会に出れば、もっとあからさまな性差別が横行している」と話します。
そして、熾烈な競争を勝ち抜いて入学してきた新入生に対して、このような言葉を贈りました。
東京大学 ーより引用
不正入試問題などを例に挙げながら、「頑張れば報われる世の中とは限らない」という上野さん。
新入生の頑張りが報われてきたのだとしたら「それは周りにいる人たちが励まし、背を押してくれたからだ」といいます。
そして、頑張って勝ち抜いてきた人たちに向けて、その力を弱者のために使ってほしいと呼びかけたのです。
東京大学 ーより引用
女性の権利を主張する運動を指す『フェミニズム』という言葉の意味を「弱者が弱者のままで尊重されること」だと上野さんは語りました。
上野さんの祝辞に対し、ネット上ではこのような声が上がっています。
・これは本当に大切。学歴は個人の努力だけを反映するものではないです。
・上野さんの祝辞に感銘を受けました。
・力強く、素敵な祝辞ですね。全文を読んでも感動します。
最後に、上野さんは大学で学ぶ価値について、このように述べました。
東京大学 ーより引用
性別に関係なく、学ぶことの大切さを訴えた上野さん。これから未知の世界に飛び出す大学生にとって、勇気を与えられる祝辞だったのではないでしょうか。
『平成31年度東京大学学部入学式 祝辞』全文はこちら