出典 photoAC
宮崎県は温暖な気候に恵まれ、野菜・果実などの促成栽培や、サツマイモやブランド化したマンゴーなどの生産が盛んです。また、乳牛、肉牛、豚、鶏のすべてにおいて日本有数の生産高を誇っています。
南国ならではの温暖な気候が育んだ豊かな自然の恵み。宮崎県には、それら地元の特産物を上手に活用して、歴史や文化とともに受け継がれてきた郷土料理が数多くあります。宮崎ならではのふるさとの味を感じられる料理には一体どんなものがあるのでしょう。宮崎市で長く親しまれている郷土料理をご紹介します。
1.冷や汁
出典 photoAC
冷や汁は、宮崎の代表的な郷土料理です。焼いたアジやイワシなどの魚の身をほぐし、 いりこと麦みそをすり鉢でこね、それにだし汁を入れて、豆腐、きゅうり、青じそなどの薬味を加えて 熱々の麦飯にかけて食べる夏の名物料理です。
冷や汁の起源は鎌倉時代。「鎌倉官領家記録」に「武家にては飯に汁かけ参らせ候、 僧侶にては冷や汁をかけ参らせ候」との記述があり、これが全国に伝わりましたがほとんどすたれ、気候風土の適した宮崎では冷や汁が原型に近いまま人々の生活にとけこみ、 土地土地のアレンジを加えながらも現代もふるさとの味、季節料理として大変親しみのある料理として食されています。冷や汁の具で栄養補給もできるうえ、だしの効いた旨味のある汁は、暑さで食欲が落ちる夏でも 食欲をそそります。 熱々ごはんにたっぷりかけて、豪快にかきこみましょう。宮崎の郷土料理として知名度が高まるにつれ、市内の飲食店がそれぞれの調理方法で、 素材も厳選したメニューを提供しています。 宮崎のふるさとの味、ぜひご賞味ください。
2.チキン南蛮
出典 photoAC
チキン南蛮は、宮崎の郷土料理のひとつで、鶏のから揚げを甘酢のたれに絡めて、 その上にタルタルソースをかけた鶏料理です。宮崎県延岡市発祥の料理とされていて、昭和40年頃から宮崎県民に愛され続けているふるさとの味です。 チキン南蛮は、延岡市にかつてあった「ロンドン」洋食店で出されていたまかないが元であると言われ、当時従業員だった後藤直氏がその後独立して立ち上げた大衆食堂「直ちゃん」で提供を始めたのが、チキン南蛮の始まりといわれています。しかし、こちらのチキン南蛮には、タルタルソースは使用していません。
現在多くの方に親しまれているタルタルソースをかけたチキン南蛮を考案したのは「ロンドン」で働いていた甲斐氏。甲斐氏がオープンしたおぐら2号店の「洋食屋ロンドン」のチキン南蛮はもちろんタルタルソースがかかっています!チキン南蛮は昭和40年代から愛されてきた宮崎県民のふるさとの味。今では全国区となった宮崎県のソウルフードを本場でぜひご賞味ください。
3.肉巻きおにぎり
出典 photoAC
肉巻きおにぎりは、豚肉をしょうゆベースの秘伝のたれに漬け込み、ご飯を巻いてオーブンでじっくりと焼いたおにぎりで、宮崎県発祥の郷土料理です。東京でも専門店に行列ができるほどの人気である肉巻きおにぎりは、宮崎の居酒屋のまかないとして出されていたものを、常連客に提供したところ人気が広がり、今や全国的にも知名度の高い料理となりました。
見た目は焼いたお肉の塊のように見えますが、食べてみると甘辛のたれに漬け込まれた肉と、さっぱりとしたご飯の味のバランスが絶妙で、口いっぱいに美味しさが広がります。子供から大人まで愛されている宮崎県民のソウルフード、本場の味をぜひ堪能してください。
4.むかでのり
むかでのりとは、宮崎県日南地方でしか取れないトゲキリンサイという寒天を作るテングサの一種を煮固めて味噌漬けにしたもので、元々は漁師の保存食だったものが宮崎の郷土料理として食べられています。
見た目はゼリーのようですが、ぷるぷるとした歯ごたえで程よい弾力性があり、味噌の風味と磯の香りと相まって酒の肴にもよく合います。ミネラルや食物繊維も豊富で、身体にも美味しいんですよ。現在は地元のご夫婦が無添加手作りの伝統手法を守り続けている貴重な珍味です。 日南地方の貴重な珍味、宮崎を訪れたらぜひご賞味いただきたい逸品です。
5.かにまき汁
かにまき汁は、宮崎県南部の北郷町に伝わる郷土料理のひとつです。この地方での貴重なたんぱく源である、山太郎がに(別名モクズガニ)と言われる川ガニで作る伝統的な料理です。山太郎ガニを生きたままよく洗い、甲羅を外して脚と身はそのまま臼に入れて砕いていきます。そこに味噌を加え、ざるでこし、弱火でゆっくり加熱すると、カニと味噌の成分がメレンゲのように固まり、汁が澄んできます。 これにネギや生姜、ゆずの皮などお好みの薬味を入れたら出来上がり。
口触りのよく、濃厚な旨味が広がる逸品です。宮崎県北郷に伝わるふるさとの味、ぜひご賞味ください。
6.カツオ炙り重
宮崎県日南市は、「一本釣りカツオ」の水揚げ日本一の町として知られ、この地で誕生した郷土料理が「日南一本釣りカツオ炙り重」です。2種類のタレにじっくりと付け込まれた新鮮なカツオを七輪であぶり、ご飯の上にのせていただきます。重箱がさらに贅沢感を増しますよ。
ごはんは地元宮崎産の米を使い、地元でとれた新鮮な食材で調理した副菜や汁ものを提供するなど、各店趣向をこらしたメニューがあります。カツオ本来の旨さを味わえる贅沢なカツオ炙り重は、宮崎の新しいふるさとの味です。新鮮なカツオを炙って、美味しいご飯と一緒にどうぞたくさん召し上がれ!
7.宮崎ラーメン
宮崎ラーメンは、豚骨スープがベースのあっさりしたスープに、柔らかめの麺、濃いめに味付けしたメンマなどの組み合わせが特徴の、豚骨のコクがありながらもさっぱりとした味が魅力のラーメンです。宮崎市内にもたくさんの名店がありますので、おすすめのお店を2つご紹介します。
まずは宮崎に古くからある名店「栄養軒」。豚骨スープですがあっさりとした味わいで、麺は細めんでスープがよく絡み、絶品チャーシューやもやしがラーメンとよく合い、長い間宮崎市民に愛されています。
そしてこちらも宮崎の名店「塩とんこつ麺処 コジマ屋」。塩とんこつのスープが黄金色に透き通っています。平兵衛酢ラーメンがお店の人気メニュー。透明の澄んだとんこつスープが特徴です。 宮崎ならではのふるさとの味を感じる宮崎ラーメン、ぜひご賞味ください。
【基本情報】
名前:栄養軒 (えいようけん)
住所:宮崎県宮崎市江平西2-1-6
URL: http://eiyouken.ocnk.net/
8.辛麺
出典 photoAC
宮崎県発祥のラーメンで、辛さに定評があるラーメンです。元々はお酒のシメだったという辛麺の特徴は、なんといってもその辛さ!醤油味のスープはニンニクと唐辛子たっぷりで、旨味と辛みが混在するスープはまさに「辛いけど箸が止まらなくなる」美味しさ! そこにふんわりとした溶き卵が入り、マイルドさが加わります。
そのスープと相性抜群なのが、通称こんにゃく麺と言われている麺。そば粉と小麦粉を使用し、まるでこんにゃくのようなぷるぷると弾力のある独特の麺です。激辛好きでない人にもぜひ味わってほしい、宮崎県民の大好物です。辛いけどうまいラーメン、ぜひご賞味ください。
9.地鶏の炭火焼き
出典 photoAC
宮崎の郷土料理といったら、やはり地鶏は外せません。ふっくらジューシーな地鶏は噛むほどに旨味を感じ、炭火で焼かれた地鶏はとても香ばしくぷりぷりで、ビールのお供にも最適です。
日本一鶏肉を食べている宮崎市民がこよなく愛する鶏料理で、最も代表的なのが「地鶏の炭火焼き」です。 一般的には切り分けられた鶏を食べることになります。ただし、お店によっては骨付きのまま食べるお店もあります!宮崎では古くから正月や祝い事で振舞われることの多い鶏料理。なかでも代表的な「地鶏の炭火焼き」、宮崎を訪れたらぜひご賞味ください。
10.レタス巻き
出典 photoAC
「レタス巻き」は全国で親しまれているサラダ巻きやロール寿司の原型とも言われ、宮崎県を代表する郷土料理です。昭和41年に宮崎市の老舗寿司店「一平」の創業者村岡氏が、友人で音楽家である平尾昌晃氏の野菜嫌いを何とかしてあげようと考案したのがきっかけで、レタス巻きが生まれました。
酢飯の上に、レタスや、ぷりぷりの海老、マヨネーズをのせて巻いたレタス巻きは、当時としては斬新な組み合わせで話題を呼び、今では宮崎の郷土料理として広く親しまれています。全国的にはサラダ巻きとして広がっている寿司の原点は、宮崎市にあります。本場宮崎市のレタス巻きをぜひ召し上がれ!
【基本情報】
名前:寿司処一平
住所:宮崎県宮崎市松山1-8-8
URL: http://www.ippei-sushi.com/
◎まとめ
温暖な気候に恵まれた宮崎市には、野菜や果実、新鮮な魚介類や牛、豚、鶏など、自然な恵みが豊富で、その特産品をシンプルに食べる郷土料理が数多く受け継がれてきています。宮崎県ならではの美味しいふるさとの味、宮崎市を訪れたらこれらの絶品郷土料理をぜひ堪能してください。