「廃棄野菜をタダでちょうだい」 農家の体験談に「酷すぎる」「絶句した」 By - grape編集部 公開:2024-07-25 更新:2024-07-25 仕事農業野菜 Share Tweet LINE 私たちが生きる上で、新鮮かつおいしい食材の存在は欠かせません。 栄養たっぷりの食材で作った料理を食べると、身体だけでなく心も自然と元気になりますよね。 そんな国民の生活を支えているのが、全国の農家。さまざまな苦労をしながら食材と向き合い、丹精込めてよりよい品質のものを作っています。 農家が運ぶ廃棄野菜を見た女性の『ひと言』 福島県で農家を営むSaba(@PyVSevenLucky)さんがXに投稿したのは、農業に携わる人として悲しい出来事でした。 ある日、駐車場に軽トラックを停めていたSabaさん。すると、見知らぬ年配女性に突然声をかけられたといいます。 これ、廃棄するキュウリ?捨てるなら頂けないかしら? 荷台に載っていたのは、廃棄予定の傷んだキュウリ。 Sabaさんは、多忙な農繁期の合間をぬってでも、女性に事情を説明。食用としては向かないキュウリであることを伝えました。 しかし、残念なことにその想いは伝わらなかった模様。「傷んでいても大丈夫」と頑なに主張していた女性は、最後には怒りをあらわにし、こんな言葉とともに去っていったといいます。 私は「廃棄するくらいなら、もらってあげる」っていってるの。 こんな農家が多いから、フードロスが減らないのよ。あなた、もっと考えて農業をやりなさい! 農家としての悲しさや怒り、やるせなさを抱きながら、Sabaさんは今回のエピソードをXに投稿。 投稿は拡散され、多くの人から「この女性のいい分は、あまりにも酷すぎる」「身勝手ないい分に絶句した」といった声が上がりました。 農家が伝えたい廃棄野菜の事情 確かに日本では、定められた形や色、味などの品質が規格に適合しない『規格外野菜』をはじめ、廃棄野菜が出ています。今回の女性と同様に、「どうせ捨てるならあげてもいいのに」と思っている人は少なくないことでしょう。 しかし実際は、生産者にしか分からないさまざまな事情が絡みます。今回grapeは、投稿者であるSabaさんに話をうかがいました。 今回の投稿への反応も含めて、廃棄野菜を単に『見た目の悪いもの』と認識している人が多いことに驚いたのですが、農家の私からすると『廃棄品=食べられないもの』です。 もし今回、廃棄品のキュウリをあげたとして、女性が「福島県産のキュウリをもらった」とほかの人に譲渡してしまった場合、廃棄品と知られないままこれが『福島県産のキュウリ』という認識になってしまう可能性もあります。 そして、廃棄品の味がまずかった場合、「福島県産のキュウリはまずい!」などの意図しない拡散や、それによる風評被害に繋がりかねません。 そういった考えがあるからこそ、廃棄品の譲渡は行いませんでした。 前述したように、規格外野菜や廃棄野菜は定められた品質に合わなかった食材。当然、店で購入するものより味などは劣ってしまうでしょう。 また、いくら廃棄品とはいえ無料で渡してしまった場合、「なら今後は、わざわざお金を出して買わなくてもいいだろう」という考えにつながりかねません。 廃棄野菜に関する誤った考え方が広まれば、福島県だけでなく、日本の農業全体に影響を及ぼす可能性も。だからこそSabaさんは、女性に対して断固拒否する形をとりました。 Sabaさんは廃棄野菜について知ってもらうため、比較写真も公開。ぱっと見では分からずとも、右のキュウリは中が空洞になってしまっていることが分かります。 日本の農業を支える生産者の1人として、「プロとして食べておいしくないものを、『もったいない』という理由だけで消費者に押し付けることだけは、やりたくない」と想いを明かす、Sabaさん。 おいしい食材を生み出すため真剣に取り組み、日々仕事に向き合うプロだからこそ、全国の農家は育てた食材を泣く泣く廃棄しているのです。 消費者である私たちにできるフードロス対策は、食べきれるぶんだけ購入するよう意識するほか、店では賞味期限の近いものを選ぶなどの工夫。 感謝の気持ちを忘れず、食べられる食材を、きちんとおいしくいただくようにしたいですね。 出典grape/@PyVSevenLucky Share Tweet LINE
私たちが生きる上で、新鮮かつおいしい食材の存在は欠かせません。
栄養たっぷりの食材で作った料理を食べると、身体だけでなく心も自然と元気になりますよね。
そんな国民の生活を支えているのが、全国の農家。さまざまな苦労をしながら食材と向き合い、丹精込めてよりよい品質のものを作っています。
農家が運ぶ廃棄野菜を見た女性の『ひと言』
福島県で農家を営むSaba(@PyVSevenLucky)さんがXに投稿したのは、農業に携わる人として悲しい出来事でした。
ある日、駐車場に軽トラックを停めていたSabaさん。すると、見知らぬ年配女性に突然声をかけられたといいます。
これ、廃棄するキュウリ?捨てるなら頂けないかしら?
荷台に載っていたのは、廃棄予定の傷んだキュウリ。
Sabaさんは、多忙な農繁期の合間をぬってでも、女性に事情を説明。食用としては向かないキュウリであることを伝えました。
しかし、残念なことにその想いは伝わらなかった模様。「傷んでいても大丈夫」と頑なに主張していた女性は、最後には怒りをあらわにし、こんな言葉とともに去っていったといいます。
私は「廃棄するくらいなら、もらってあげる」っていってるの。
こんな農家が多いから、フードロスが減らないのよ。あなた、もっと考えて農業をやりなさい!
農家としての悲しさや怒り、やるせなさを抱きながら、Sabaさんは今回のエピソードをXに投稿。
投稿は拡散され、多くの人から「この女性のいい分は、あまりにも酷すぎる」「身勝手ないい分に絶句した」といった声が上がりました。
農家が伝えたい廃棄野菜の事情
確かに日本では、定められた形や色、味などの品質が規格に適合しない『規格外野菜』をはじめ、廃棄野菜が出ています。今回の女性と同様に、「どうせ捨てるならあげてもいいのに」と思っている人は少なくないことでしょう。
しかし実際は、生産者にしか分からないさまざまな事情が絡みます。今回grapeは、投稿者であるSabaさんに話をうかがいました。
今回の投稿への反応も含めて、廃棄野菜を単に『見た目の悪いもの』と認識している人が多いことに驚いたのですが、農家の私からすると『廃棄品=食べられないもの』です。
もし今回、廃棄品のキュウリをあげたとして、女性が「福島県産のキュウリをもらった」とほかの人に譲渡してしまった場合、廃棄品と知られないままこれが『福島県産のキュウリ』という認識になってしまう可能性もあります。
そして、廃棄品の味がまずかった場合、「福島県産のキュウリはまずい!」などの意図しない拡散や、それによる風評被害に繋がりかねません。
そういった考えがあるからこそ、廃棄品の譲渡は行いませんでした。
前述したように、規格外野菜や廃棄野菜は定められた品質に合わなかった食材。当然、店で購入するものより味などは劣ってしまうでしょう。
また、いくら廃棄品とはいえ無料で渡してしまった場合、「なら今後は、わざわざお金を出して買わなくてもいいだろう」という考えにつながりかねません。
廃棄野菜に関する誤った考え方が広まれば、福島県だけでなく、日本の農業全体に影響を及ぼす可能性も。だからこそSabaさんは、女性に対して断固拒否する形をとりました。
Sabaさんは廃棄野菜について知ってもらうため、比較写真も公開。ぱっと見では分からずとも、右のキュウリは中が空洞になってしまっていることが分かります。
日本の農業を支える生産者の1人として、「プロとして食べておいしくないものを、『もったいない』という理由だけで消費者に押し付けることだけは、やりたくない」と想いを明かす、Sabaさん。
おいしい食材を生み出すため真剣に取り組み、日々仕事に向き合うプロだからこそ、全国の農家は育てた食材を泣く泣く廃棄しているのです。
消費者である私たちにできるフードロス対策は、食べきれるぶんだけ購入するよう意識するほか、店では賞味期限の近いものを選ぶなどの工夫。
感謝の気持ちを忘れず、食べられる食材を、きちんとおいしくいただくようにしたいですね。