8月6日から『仙台七夕まつり』が開催 七夕が8月に行われるその理由とは By - 日本気象協会 tenki.jp 公開:2018-08-06 更新:2018-08-06 北海道・東北地方宮城 Share Tweet LINE 笹の葉を飾り、短冊に願い事を書いて……。七夕といえば7月7日、もう過ぎた行事と思っていませんか。 しかし、全国各地には中暦の七夕といって、8月に七夕まつりをするところが少なくありません。そこで今日は、中暦の七夕の代表である「仙台七夕まつり」をご紹介しましょう。 また、旧暦の7月7日(2018年は8月17日)は「伝統的七夕」ともいわれ、七夕伝説にふさわしい織姫(こと座・ベガ)と彦星(わし座・アルタイル)がきらめく、夏の星空を観察することができます。 さあ、きたる17日は家の明かりを消して、星空観察をしてみませんか! 中国で織女星と牽牛星の物語が「乞巧奠」という行事になり、日本に伝来 日本、中国に伝わる、有名な「七夕伝説」 を最初にご紹介しましょう。 ── 昔々、織女(しょくじょ)という裁縫や機織り(はたおり)を得意とする働き者の娘がいました。 一生懸命働く娘のために、天帝は真面目な牛飼いの青年・牽牛(けんぎゅう)を引き合わせることに。すると、たちまち二人は恋に落ちて結婚する運びとなります。 ところが結婚後、二人は裁縫や機織り、牛飼いにいそしむことなく、天の川のほとりでおしゃべりばかりしています。そんな二人を見かねて天帝は何度も叱るのですが、いっこうに二人は真面目に働こうとしません。 その様子に業を煮やした天帝は、織女と牽牛を離ればなれにしてしまったのです。すると悲しみに暮れた二人は泣いてばかり……。この様子を哀れに思った天帝は、真面目に改心するならば……と約束し、年に一度だけ天の川を渡って、お互いに会うことを許したのです。 物語の主役は、そう、夏の夜空を彩る二つの星のこと。 ・織女星(しょくじょせい・こと座のベガ) ・牽牛星(けんぎゅうせい・わし座のアルタイル) 日本名では「織姫」と「彦星」のことを指しますね。 中国ではこの伝説にあやかり、裁縫などの技巧上達を祈る「乞巧奠(きっこうでん)」という行事を行うようになり、それが奈良時代に中国から日本に伝来し、宮中の年中行事になったと今に伝わっています。 年に一度の逢瀬……七夕の物語はロマンチックです 旧暦7月7日は禊の日。先祖の霊のために棚機女が棚機で衣を織ったことが七夕の起源 日本で七夕が広まった理由は諸説ありますが、先に紹介した中国から伝来した「乞巧奠(きっこうでん)」と、お盆前の神事が合体したから、とも言われています。それは……、 秋の豊作を祈り、人々は7月7日に禊ぎ(みそぎ)をし、先祖の霊を賜るお盆の準備に入りました。先祖の霊(当時は神とされた)のために、新しく衣を織るのは、棚機女(たなばため)なる選ばれた乙女たち。清流の水辺につくられた機屋(はたや)で衣を織る棚機女(たなばため)が禊ぎの行事のひとつとなり、それが今に続く七夕の起源とされます。 さらに七夕には、「乞巧奠(きっこうでん)」で伝来した裁縫技術向上に限らず、芸事や書道上達の願いも込められていたともいわれています。 日本三大七夕まつりのひとつ「仙台七夕まつり」は、伊達政宗公から続く伝統的祭り ではなぜ、今も8月上旬に七夕まつりをする地域が多いのでしょうか。 七夕は、お盆前の禊ぎの行事でもあるので、その前に行うのが正しいと解釈されています。しかし、今の暦を旧暦に合わせると、お盆を過ぎてしまう場合があるため、季節感のずれをなくすことを目的に中暦(新暦と旧暦の間を取る)案が採用されることに。これが「中暦の七夕」といわれるもので、多くの地域では今でも8月に「七夕まつり」を行っています。 「日本三大七夕まつり」のひとつである「仙台七夕まつり」も、こうした背景があり8月6日〜8日の期間に開催。「仙台七夕まつり」は伊達政宗公の時代から400年続く伝統行事であり、色鮮やかな七夕飾りで埋め尽くされた美しい風景を楽しむことができます。 「仙台七夕まつり」に出かけた際の要チェックポイントは、数カ月かけて丹精込めて作られた「笹飾り」でしょう。その高さは10mにおよび、「吹き流し」最上部にはくす玉が飾られ、飾り付けの主役に。これは織姫の織り糸を象徴し、昔の織り糸を垂らした形を表すことで機織や技芸の上達を願っています。 最上部に飾られた色とりどりのくす玉や、風に揺られて幾重にもたなびく繊細な和紙の姿はとても優雅ですが「吹き流し」のほかにも見どころは満載です! 仙台七夕には欠かせない七つ道具といわれる飾りもの ●富貴を願う巾着(きんちゃく) ●幸運を寄せ集める投網(とあみ) ●清潔と倹約の心を育てる屑籠(くずかご) ●延命長寿を願う千羽鶴(せんばづる) ●裁縫の腕の上達を願う紙衣(かみごろも) ●学問や書、手習いの上達を願う短冊(たんざく) 最上部の「吹き流し」とあわせて、これら「七つ道具」り飾りを目で探しながら歩くのも楽しいでしょう。 〈仙台七夕まつり〉 【開催日程】2018年8月6日(月)、7日(火)、8日(水) 【飾り付け時間】8月6日(月)・8月7日(火) 10時頃~22時頃(予定) 【開催場所】仙台市中心部および周辺商店街 仙台駅前から中央通り、一番町通りのアーケード街にかけて豪華絢爛な七夕飾りを観賞できます 【おまつり広場】10時~21時(予定) 各種ステージイベントや、七夕の歴史を学べる展示、宮城のおいしい食材を集めた出店のほか、七つ飾り作成体験や、短冊記入コーナーも! 【お問い合わせ】022‐265‐8185 仙台七夕まつり協賛会 ※詳細は仙台商工会議所HPをご参照のうえ、お出かけください。 豪華絢爛な吹き流し こと座・ベガとわし座・アルタイルが瞬く夏の大三角形と、天の川。銀河に伝統的七夕の思いをはせて ここまで七夕の由来や中暦の七夕についてご紹介しましたが、最後に「伝統的七夕」についてもご紹介しましょう。 「伝統的七夕」とは、旧暦7月7日にあわせた七夕の日で、2018年は8月17日になります。7月7日七夕の日は、ちょうど梅雨の時期。そこで星がよく見える旧暦7月7日に夜空を見上げようと、国立天文台などが広く発信しているのが「伝統的七夕」です。 小学生のころに勉強した、こと座の1等星のベガ、わし座1等星・アルタイル、はくちょう座・デネブで形成する夏の大三角形を覚えていますか? 夏を代表する星座であること座のベガが「織姫」で、わし座の「アルタイル」が彦星です。夏の大三角形は見つけやすいので、街が明るすぎなければ肉眼でも確認できる可能性は大! また8月17日は、月は夜半前に沈むので、観測条件のいい場所では二つの星の間に天の川が横たわる様子が観測できるでしょう。宇宙航空研究開発機構(JAXA)や国立天文台などは、「伝統的七夕ライトダウンキャンペーン」として、伝統的七夕の日に街の灯りを消して美しい夜空を楽しもう……と提案しています。 最後に少し現実的な話になりますが、ロマンチックな「七夕伝説」ではあるものの、実際には織姫星と彦星の距離は14.4光年も離れていることになります。14.4光年といわれても、すぐにどんな距離かわかりづらいのですが、簡単にいうと「光のスピードでも約14年と半年かかる距離」だそう。そのため、物語のように一年に一度会うことは物理的に難しいのだそうです……。 でも、夏の美しい夜空は、誰もが知っている七夕の物語を思い出させてくれるはず。きたる8月17日、ぜひ美しい夜空を見上げてみてはいかがでしょうか。 参考/国立天文台ホームページ、仙台七夕まつりホームページ 夏の大三角形の図解 関連記事 星空は見られるかな? 今日の天気を確認! レジャー前にチェック! 出典8月6日から仙台七夕まつり!17日は伝統的七夕!“8月七夕”に瞬く織姫星、彦星を見つけよう! Share Tweet LINE
笹の葉を飾り、短冊に願い事を書いて……。七夕といえば7月7日、もう過ぎた行事と思っていませんか。
しかし、全国各地には中暦の七夕といって、8月に七夕まつりをするところが少なくありません。そこで今日は、中暦の七夕の代表である「仙台七夕まつり」をご紹介しましょう。
また、旧暦の7月7日(2018年は8月17日)は「伝統的七夕」ともいわれ、七夕伝説にふさわしい織姫(こと座・ベガ)と彦星(わし座・アルタイル)がきらめく、夏の星空を観察することができます。
さあ、きたる17日は家の明かりを消して、星空観察をしてみませんか!
中国で織女星と牽牛星の物語が「乞巧奠」という行事になり、日本に伝来
日本、中国に伝わる、有名な「七夕伝説」 を最初にご紹介しましょう。
── 昔々、織女(しょくじょ)という裁縫や機織り(はたおり)を得意とする働き者の娘がいました。
一生懸命働く娘のために、天帝は真面目な牛飼いの青年・牽牛(けんぎゅう)を引き合わせることに。すると、たちまち二人は恋に落ちて結婚する運びとなります。
ところが結婚後、二人は裁縫や機織り、牛飼いにいそしむことなく、天の川のほとりでおしゃべりばかりしています。そんな二人を見かねて天帝は何度も叱るのですが、いっこうに二人は真面目に働こうとしません。
その様子に業を煮やした天帝は、織女と牽牛を離ればなれにしてしまったのです。すると悲しみに暮れた二人は泣いてばかり……。この様子を哀れに思った天帝は、真面目に改心するならば……と約束し、年に一度だけ天の川を渡って、お互いに会うことを許したのです。
物語の主役は、そう、夏の夜空を彩る二つの星のこと。
・織女星(しょくじょせい・こと座のベガ)
・牽牛星(けんぎゅうせい・わし座のアルタイル)
日本名では「織姫」と「彦星」のことを指しますね。
中国ではこの伝説にあやかり、裁縫などの技巧上達を祈る「乞巧奠(きっこうでん)」という行事を行うようになり、それが奈良時代に中国から日本に伝来し、宮中の年中行事になったと今に伝わっています。
年に一度の逢瀬……七夕の物語はロマンチックです
旧暦7月7日は禊の日。先祖の霊のために棚機女が棚機で衣を織ったことが七夕の起源
日本で七夕が広まった理由は諸説ありますが、先に紹介した中国から伝来した「乞巧奠(きっこうでん)」と、お盆前の神事が合体したから、とも言われています。それは……、
秋の豊作を祈り、人々は7月7日に禊ぎ(みそぎ)をし、先祖の霊を賜るお盆の準備に入りました。先祖の霊(当時は神とされた)のために、新しく衣を織るのは、棚機女(たなばため)なる選ばれた乙女たち。清流の水辺につくられた機屋(はたや)で衣を織る棚機女(たなばため)が禊ぎの行事のひとつとなり、それが今に続く七夕の起源とされます。
さらに七夕には、「乞巧奠(きっこうでん)」で伝来した裁縫技術向上に限らず、芸事や書道上達の願いも込められていたともいわれています。
日本三大七夕まつりのひとつ「仙台七夕まつり」は、伊達政宗公から続く伝統的祭り
ではなぜ、今も8月上旬に七夕まつりをする地域が多いのでしょうか。
七夕は、お盆前の禊ぎの行事でもあるので、その前に行うのが正しいと解釈されています。しかし、今の暦を旧暦に合わせると、お盆を過ぎてしまう場合があるため、季節感のずれをなくすことを目的に中暦(新暦と旧暦の間を取る)案が採用されることに。これが「中暦の七夕」といわれるもので、多くの地域では今でも8月に「七夕まつり」を行っています。
「日本三大七夕まつり」のひとつである「仙台七夕まつり」も、こうした背景があり8月6日〜8日の期間に開催。「仙台七夕まつり」は伊達政宗公の時代から400年続く伝統行事であり、色鮮やかな七夕飾りで埋め尽くされた美しい風景を楽しむことができます。
「仙台七夕まつり」に出かけた際の要チェックポイントは、数カ月かけて丹精込めて作られた「笹飾り」でしょう。その高さは10mにおよび、「吹き流し」最上部にはくす玉が飾られ、飾り付けの主役に。これは織姫の織り糸を象徴し、昔の織り糸を垂らした形を表すことで機織や技芸の上達を願っています。
最上部に飾られた色とりどりのくす玉や、風に揺られて幾重にもたなびく繊細な和紙の姿はとても優雅ですが「吹き流し」のほかにも見どころは満載です!
仙台七夕には欠かせない七つ道具といわれる飾りもの
●富貴を願う巾着(きんちゃく)
●幸運を寄せ集める投網(とあみ)
●清潔と倹約の心を育てる屑籠(くずかご)
●延命長寿を願う千羽鶴(せんばづる)
●裁縫の腕の上達を願う紙衣(かみごろも)
●学問や書、手習いの上達を願う短冊(たんざく)
最上部の「吹き流し」とあわせて、これら「七つ道具」り飾りを目で探しながら歩くのも楽しいでしょう。
〈仙台七夕まつり〉
【開催日程】2018年8月6日(月)、7日(火)、8日(水)
【飾り付け時間】8月6日(月)・8月7日(火) 10時頃~22時頃(予定)
【開催場所】仙台市中心部および周辺商店街
仙台駅前から中央通り、一番町通りのアーケード街にかけて豪華絢爛な七夕飾りを観賞できます
【おまつり広場】10時~21時(予定)
各種ステージイベントや、七夕の歴史を学べる展示、宮城のおいしい食材を集めた出店のほか、七つ飾り作成体験や、短冊記入コーナーも!
【お問い合わせ】022‐265‐8185 仙台七夕まつり協賛会
※詳細は仙台商工会議所HPをご参照のうえ、お出かけください。
豪華絢爛な吹き流し
こと座・ベガとわし座・アルタイルが瞬く夏の大三角形と、天の川。銀河に伝統的七夕の思いをはせて
ここまで七夕の由来や中暦の七夕についてご紹介しましたが、最後に「伝統的七夕」についてもご紹介しましょう。
「伝統的七夕」とは、旧暦7月7日にあわせた七夕の日で、2018年は8月17日になります。7月7日七夕の日は、ちょうど梅雨の時期。そこで星がよく見える旧暦7月7日に夜空を見上げようと、国立天文台などが広く発信しているのが「伝統的七夕」です。
小学生のころに勉強した、こと座の1等星のベガ、わし座1等星・アルタイル、はくちょう座・デネブで形成する夏の大三角形を覚えていますか?
夏を代表する星座であること座のベガが「織姫」で、わし座の「アルタイル」が彦星です。夏の大三角形は見つけやすいので、街が明るすぎなければ肉眼でも確認できる可能性は大!
また8月17日は、月は夜半前に沈むので、観測条件のいい場所では二つの星の間に天の川が横たわる様子が観測できるでしょう。宇宙航空研究開発機構(JAXA)や国立天文台などは、「伝統的七夕ライトダウンキャンペーン」として、伝統的七夕の日に街の灯りを消して美しい夜空を楽しもう……と提案しています。
最後に少し現実的な話になりますが、ロマンチックな「七夕伝説」ではあるものの、実際には織姫星と彦星の距離は14.4光年も離れていることになります。14.4光年といわれても、すぐにどんな距離かわかりづらいのですが、簡単にいうと「光のスピードでも約14年と半年かかる距離」だそう。そのため、物語のように一年に一度会うことは物理的に難しいのだそうです……。
でも、夏の美しい夜空は、誰もが知っている七夕の物語を思い出させてくれるはず。きたる8月17日、ぜひ美しい夜空を見上げてみてはいかがでしょうか。
参考/国立天文台ホームページ、仙台七夕まつりホームページ
夏の大三角形の図解